検出器チーム
宇宙の始まりを見るには、インフレーションのかすかな痕跡を明瞭に検出できる超高感度の検出器が必要です。私たちは、そのような新世代の検出器を開発しています。また、この技術を活用して、ビッグバン後の宇宙の進化の研究で重要な観測を行うことも目指しています。
この検出器の心臓部は、超伝導体を用いた高性能検出素子(STJ、MKID)です。それを極低温(マイナス273℃)に冷やして雑音を限りなくゼロに近づけて超高感度を実現します。また、1,000個の素子を並べることで広い天空域を一度に観測します。
具体的に研究・技術開発を行うのは、以下の3つの技術です。
- 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の観測衛星に載せる100ギガヘルツ帯の超伝導検出器の開発
- 宇宙赤外線背景放射(CIRB)の観測衛星に載せるテラヘルツ帯の超伝導検出器の開発
- 1000個の素子からの信号を同時に読み出して処理できる技術の開発
理化学研究所・国立天文台・高エネルギー加速器研究機構(KEK)という世界レベルの研究機関が力を合わせ世界最強の極低温検出器技術の開発拠点を立ち上げて、宇宙始まりの探査に必要な世界最高性能の検出器の実現を目指します。
図1:検出器
観測衛星(左)の心臓部には高性能超伝導検出素子アレイ(中央)があり、素子をさらに拡大してみると(右)、リソグラフィ技術で描かれた微小アンテナが見える。